なごやっくす(Twitter@omairi_dash)です。
虎渓山永保寺(岐阜県多治見市)の国宝観音堂を見てきました。
このページに、永保寺観音堂の歴史や国宝指定理由、さらには内部拝観に関する情報についてまとめておきます。
- 永保寺観音堂の概要を知りたい!
- 観音堂の特徴が気になる…
- 内部を拝観できるのはいつ?
といった場合などに参考にしていただければと。
さっそくいきますね。
永保寺観音堂とは【水月場】
国宝観音堂(水月場)
永保寺観音堂は、明治34年(1901年)に国宝指定された虎渓山の仏殿です。
正式名称は「水月場(すいげつじょう)」で、観音閣とも呼ばれています。
「夢窓年譜」には、鎌倉時代の正和3年(1314年)の建立とありますが、現在の観音堂の様式をふまえると、南北朝時代(1333-1392年)の建立と考えられているんだとか。
夢窓国師(1275-1351年)によって建てられた建築物としては、日本に唯一現存するものなんだそうですよ。
>>[参考]永保寺観音堂|文化遺産オンライン観音堂の国宝指定理由
観音堂と無際橋(永保寺庭園)
観音堂が国宝に指定された理由としては、おもに以下の3つが挙げられます。
- 円覚寺(鎌倉市)の舎利殿に次いで、唐様建築のすぐれた代表的遺作である
- 唐様建築の手法に、和様建築のソレを折衷した、特殊な建築である
- 建物の主要部分に改修・補修が少なく、当時の面影を保っている
また、2.に関しては「屋根の反り」や「佇まいの荘重さ」といった代表的な唐様建築に、以下の和様建築を折衷しているのが特徴のようです。
(観音堂に折衷させた) 和様の手法 | 一般的な唐様建築 |
---|---|
あっさりした板張りの軒 | 軒には垂木を並べる |
組物が亜麻組である | 組物に詰組を用いる |
柱(とくに下部)がシンプル | 柱の下に礎盤を置く |
坐式礼拝できるよう、床が拭板敷 | 土間床で、瓦の四半敷で仕上げる |
※組物=柱の上で軒などの上部構造を支える部材
唐様建築(禅宗様式)との比較・対比ができるよう、表にまとめてみました。観音堂の見学が、和様建築と唐様建築の違いを知る、素晴らしい機会になりました!
観音堂内部には聖観世音菩薩が
観音堂を高所から望む
観音堂内部の須弥壇上には、流木で組まれた岩窟式厨子が設けられ、本尊・聖観世音菩薩坐像(県指定重要文化財)が祀られています。
また、須弥壇の背後には彩色地蔵菩薩が描かれており、北面には庇護の檀越や縁者、亡僧の位牌が祀られているそうです。
これらの約170基に及ぶ古位牌群は、歴史資料として多治見市の文化財に指定されています
観音堂の内部拝観【日時など】
- 日時:毎年3月15日(曜日に関係なく)
- 費用:無料
※永保寺公式サイトをもとに作成
虎渓山永保寺では、毎年3月15日の涅槃会に合わせて宝物公開(宝物風入)を行なっています。
この日に国宝観音堂の内部を拝観できるとのことです。ぜひ一度拝観したい…!
「風入(かぜいれ・かざいれ)」とは、書物などに風を入れて湿気や虫の害を防ぐこと。宝物を虫干しするのに合わせて、一般公開してくださるわけですね!
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
このページの要点をまとめました。
- 永保寺観音堂は、明治34年に国宝指定された虎渓山の仏殿
- 唐様建築と和様建築を折衷した、特殊な建築が特徴
- 毎年3月15日の宝物公開の際に、観音堂内部を拝観できる
2011年からは、観音堂内を使った「禅式結婚式」も行なっているそうです(参考:多治見市観光協会)。
国宝で挙げる結婚式とは、大変魅力を感じます!